下流な話。渋谷近隣の住民の話。埼京線が臨海部まで直通になったおかげで渋谷駅周辺がただの観光スポット化して久しいとか。で、急速に地方率が高まる渋谷駅周辺を嫌気して目黒、恵比寿、代官山、青山に逃避したけど最近はあのあたりも危ない。北関東人は赤羽で満足出来ないのかと言われた。僕が東京と北関東のホットラインを結んだわけではないので答えようが無かった。

言われてみれば、確かに渋谷の風景は巨大な郊外そのものになりつつあり、原住民からすれば目も当てられない惨状を呈していると言える。マツモトキヨシスターバックス、マック。郊外の必要用件を全て満たすのは実は郊外そのものではなくて渋谷なのかもしれない。または郊外都市の住民が過ごし易いように今の渋谷は姿を変えつつあるのかもしれない。僕は少なくとも過ごし易い。いや、もちろん服とか売ってる場所は別ですが。オタクだし。ともあれ、渋谷が北関東の住民にとって快適な場所になりつつあるのは間違いが無く、また僕はそれで良いんではないかと言った。全国どこでも同じ環境を提供し続けてきた上記のような企業が、まさか渋谷だけ見逃すはずはない。

また、上記のようなスポットにまで北関東のバーバリアンが進入しつつあるという点についても、良いんではないですかと言った。お金も落ちて、皆で幸せになれますよとかなんとか。

どちらしても、土地の文化が云々という問題は往々にして環境問題と似通っている。つまりその土地にオモイを抱いている人が外から土地について語っているという構図だ。原住民はマックを置きたいマツキヨを入れたいスタバを入れたい。だが、土地に思いいれがある、別の土地に住んでいる人は原住民の経済的な事情より自分の思い出が優先なのでそれには反対だ、という。勿論自分の思い出が優先だろとは言えない。言ってる当の本人は土地のためだと信じているし住民のためと考えている。

僕は自分の土地に対する思い入れが希薄な分、他人様の土地に対してもそれほど敏感ではない。青山に埼京線が通っても(まずありえない仮定だけど)、困らない。

もしそうした入り組んだ構造を変えようとするなら、一番良い方法は日本全国をどこも同じ風景にするしかないんではないか、とさえ最近は思う。そうすれば、どこまで行っても、日本は日本であり続けるだろうし、どこまで行っても私は自分の土地に立ち続ける事が可能。その結果その土地の住民が、均質な空間を愛するようになるのか突如として自分の土地のルーツを求めるのかは分からないが。どちらしても本当に土地の人がまさに己の土地を語るなら、または語りうるなら、それ以外方法が無いんではないかと思った。

というわけでもっと埼京線を延ばして下さいJR。