狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

あらすじ
なんだかんだでホロと旅を続ける事にした行商人ロレンスは、全巻の銀貨騒動で得た胡椒を武器に交換し、教会都市リュビンハイゲンで売り抜けようと計画する。しかし高値で安定していたはずの武具は例年行われていた軍事遠征が中止したことにより価格が暴落し、債権をつくってまで大量の武具を購入したロレンスは、多額の負債を抱えることに。債権を持つレメリオ商会に2日以内の返済を求められた事により商人生命の危機に陥るロレンスとホロ。唯一の打開策は、旅の途中で出会った羊飼いノーラによる、ある商品をリュビンハイゲンに密輸に賭けられた。果たして無事ロレンスは難局を乗り切ることができるのか…?

かんそう
萌えと行商を融合させたライトノベルのシリーズ第2作目。前半はホロとロレンスとのやりとりにニヤニヤさせられる。半分くらいはふりまわされたいロレンス、嫌味を良いながらもそれを楽しむホロとのやりとりは時々やり過ぎ感すら漂うほどに甘ったるいです。そしてホロのしぐさを描写するあたりは一種鬼気迫る情熱すら感じます(笑)。

それはともかく今回の要もやはり投機です。債権をつくって新しい投資をするも、価格の暴落によって焦げ付きが生じるという筋書きは何だか昨今のライブドア騒動を髣髴とさせるものがありますなぁ。

さて、この本を読んだ知り合いと投機について色々と話したのですが、彼は今回、ロレンスが武具を購入した時点での筋書きが一発で読めた!と言うのでその理由を聞きました。彼は以前あるカードゲームを楽しんでいたのですが、ゲームで使われるカードの価格が近所でもまちまち。彼はそれを利用して、大量のカードを購入してより価格をつけている地域で売り抜けて利益を得ていたそうです。

しかし、やがて悲劇が。ある日彼がいつものように店に行き、投機のためのカードを物色するといつもよりさらに安値で売られていたらしいのです。訝しがりながらも彼はいつものようにカードを購入し、翌日に売り抜けようと画策しました。ところが翌日、カードを売り抜けようした彼は戦慄せざるをえませんでした。何故なら、カードはいつもの3分の1以下の値がつけられていたのです。どうやらその日から新しいシリーズの発売が始まったそのゲーム、前作のカードはほぼ用済みと相成ったということだそうです。

僕はトロイので武具が出てきた時点で気付きませんでしたが、なるほどそういう経験があると色々と気付くこともあるのかなぁ。まぁどちらも情報戦の敗北を回避することが投機では大事なんだなぁ…という至極当たり前の教訓をもって終了。

その他「商人として」「商人とは」という言葉が頻出するように、萌え職業倫理小説(造語)となりつつあるのが面白いです。投機にしても羊飼いにしても、肉体を酷使するのではなく頭を酷使することで勝利を得るという方向性は前作と同じでした。一流の商人になるための明日はどっちだロレンス。

関連
ヒツジ - Wikipedia
羊飼いはなかったんでヒツジのほうを。