映画「パプリカ」を見ました。原作は一応予習しておいたわけですが、別にその必要はなさそう。

小説版では大手自動車メーカーの幹部である患者の治療と、主人公千葉敦子が働く研究所で起こる政治闘争が複雑に絡み合い、そこに人の夢にダイブして治療を補助するという機能を持つ世紀の開発であるDCミニの存在が投げ込まれる…というエンターティメント仕立てになっていました。

映画版では、そうした筋立てを一回バラバラにして映像美優先で再構成。まず、自動車メーカー幹部能勢さんのエピソードは全部カット。その代わりに小説版では中盤から活躍する警察官の粉川に重点シフトしてました。粉川さんが大活躍。研究所の理事長乾が悪役なのは代わらず。ノーベル賞云々の話も全部カット。最後のオチは小説とは全然違いました。これは見て確認して下さい、原作を見た人は「えー!?」だと思います、良い意味で。

さて…そんな客観的な話は置いておくとして、何はともあれ林原めぐみの声が1時間半ずっと聞けたので良かったというのがしょうもない感想と言いますか。スレイヤーズの劇場版を角川がやらなくなって以来ですよ。劇中で林原めぐみは千葉敦子という精神医療の研究員と夢探偵「パプリカ」という一人二役(パプリカは千葉敦子の変装した姿なので正確な表現ではないかもしれませんが…)をこなしていて、きちんと声質を変えて演じ分けてました。パプリカの方は、どっちかというと往年の林原風の元気少女っぽい声、千葉敦子の時は、カウボーイビバップのフェイに近い声、というか林原の地声に近い声音でした。

また、この「パプリカ」の夢のシーンでは「五・七・五・七・七」や「五・七・七」のように、短歌や俳句のテンポで意味不明なセリフがキャラクターによって語られるわけですが、これが夢の不条理さを上手く出してたと思いました。平沢進の音楽も耳に残ります。

こうやって書いてみると、結構「音」が個人的には印象が強い映画だったんだなと。

映画が終わった後、オタクはスタッフロールを見るために映画を見てるんだという事実を改めて確認出来て良かった。原画に「人狼」や「功殻機動隊1・2」などの沖浦啓之氏と井上俊之氏がいたのは確認できたけどあとは分からなかった。

見る側としてはストーリーがどこに着地するかというよりも、ひたすらめまぐるしく変わるカットの一瞬一瞬を追う映画です。一時間半が凄く短く思えました。

写真はパンフレット。表紙がホログラム処理されてます。内容はスタッフ紹介と今敏監督のインタビュー、氷川竜介と香山リカの解説があるけどこれで800円はちょっと高いな…。

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パプリカ - Paprika -
平沢進のテーマ音楽が聞けます。結構音が大きいので注意して下さい。
筒井康隆 - Wikipedia

selim・またはぬるいジロリアンの日記―パプリカ(小説版)