オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

あらすじ

システムエンジニアの職を辞した伊藤は、ふとした出来心でコンビニ強盗を決意するが失敗。パトカーから逃走するうち、彼が流れ着いたのは日本列島から隔絶した孤島、「萩島」だった。この島には「何か」が欠けている、そしてその「何か」は、島から来た誰かによってもたらされるという言い伝えが残っていた。だが、それを考える間もなく、伊藤はしゃべる案山子「優午」が、無残に殺される事件に巻き込まれていく。犯人は誰なのか?そしてこの島に欠けている「何か」とは?

駄文

新潮ミステリー倶楽部賞を受賞したということで、一応ミステリーというカテゴライズ。伏線の張り方と回収は普通かと思いつつ、本来のウリはこの文体でしょうか。人物造型から会話から、村上春樹の現代寓話的なスタイルを、さらにブラッシュアップしたような印象で、好きな人にはたまらないのかな。モテ文体。髪サラサラ王子みたいな(もう何が何だか)。オチの衝撃度は中の下ですが(故にミステリージャンキーは敬遠か?)、最後にへんな説教をぶたないので娯楽に踏みとどまっている良作でした。読んだ時間は3時間くらいです。

どうでもいいけど

http://media.excite.co.jp/book/news/topics/126/p02.html

大森 この順位ってことは、つまりさ、「伊坂くんってェ、いいひとなんだけどォ〜、なんか最近、会ってもドキドキしなくなってきちゃったっていうかァ〜」(笑)。

豊崎 大森さん、うまい、うますぎる! たしかに、伊坂くんてそういうタイプなのかも。いいひと過ぎちゃってみんなそろそろ飽きてきたのかな。でも、本人もほんとにそういう好青年なんだからしょうがない。文句は言えないですよね。

文学賞メッタ斬りでおなじみのお二人の文章。多分コレ見てなるほどなーと。そう、そういういい人っぽさがあるんだよなぁ。他のもこういうスタイルの作品が多いのかな。あとついうっかりモテ非モテって区分けしちゃうのははてなの毒にそまってますね自戒。

関連

書評wiki 新潮ミステリー倶楽部賞
受賞は2000年ってことはもう6年も前か。