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- 作者: 秋山瑞人,椎名優
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 文庫
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スカイウォーカーであると言うだけで宣教部隊に殺される時代。三十六番目のスカイウォーカー朧が残したロボットと彼の人生のすべてが詰まったビンを拾ったのは、朧の予言通り、三十七番目のスカイウォーカー幽でその幽は一匹のちっぽけな黒猫だった―。史上最強の斑は過去四年に渡りスパイラルダイバーの頂点に君臨し続け、斑に挑戦することはすなわち、死であると言われたその斑に勝利したのは二千五百三十三番のスパイラルダイバー焔でその焔は一匹の痩せた白猫だった―。そんな幽と焔が出会ったとき、物語は始まる…。SFファンタジー。
Amazon.co.jp:猫の地球儀 焔の章電撃文庫: 本から引用。
どくしょかんそう
「イリヤの空、UFOの夏」を読んだ時の秋山瑞人の印象と言えば、「なまぐさい作家」でした。浅羽が金属片を無理やりえぐりだす時の描写や、イリヤと放浪途中、学校に立ち寄った時に起きたレイプ未遂など、ライトノベルで可能ななまっぽさを如何に追求するかに血道をあげているように思えたからです。どうもラストがああいう形だったのでセカイ系とか呼ばれてしまってますけど、僕はそのなまっぽさに魅力に感じていました。
この作品もやっぱりそういう部分があるんですが、それ以上にストーリー作家としての秋山瑞人の上手さを見る事が出来て良かったような気がします。少し荒筋に補助線を引きますと、この作品はトルクという、地球の衛星軌道上を回る巨大建造物に住まう猫達にまつわるお話です。猫達は「地球とは魂が向かう場所」という教義を持っているのですが、その「魂が向かう場所」に行こうと考えたのが荒筋にもある三十七番目のスカイウォーカー「幽」なんですね。そして、地球に行く事は現在のトルク支配者である「大集会」にとっては、教義上タブーになために、「大集会」につけまわされるというお話です(色々端折ってしまったけど…)。
全体として、話の芯を太くもち、それをサイドストーリーで膨らませていくその手捌きが何と言っても素晴らしいです。なので上手い話が好きな人はかなり読めると思います。
あと、結構苦いオチがあってそれがまた良いのです。個人的趣味です。イタイ話好きという。ちょっとチクッと来るのが好きな人は猫の地球儀!
関連
天球堂画報
イラスト担当の椎名優さんのサイト。
著者インタビュー:秋山瑞人先生
「イリヤの夏、UFOの空」についての作家本人インタビュー。
秋山瑞人 - Wikipedia