だめなかんそう
シリーズ化するということで、主人公の過去についてはまだうすぼんやりとしか見えていない(見せていない?)。以外と人が死にまくる。で、それを一つの話につっこんでいくのでちょっと唐突。シリーズ化する際の要求と、話としてオチをつけるための要素が入り乱れてイマイチだった。上下巻でワンエピソードにした方がよかったんじゃなかろうか。しかし…

メロスだけじゃないわ。他にも、人間への愛と信頼にあふれた素晴らしい作品がたくさんあるのよ!『葉桜と魔笛』をぜひ読んで!不治の病に冒された妹を気遣う姉の心情に、胸がしめつけられるわ。ラストは悲しいだけじゃなく、優しさがあるわ。希望と光があるわ。『雪の夜の話』で、兄のお嫁さんに美しい雪景色を見せようとする妹も、『皮膚と心』に出てくる、まるで少女みたいに旦那様を慕っている奥さんも、みんな純情で、愛らしいわ。『ろまん灯篭』に出てくる五人の兄妹は、みんなでリレー小説をするのよ。ホームドラマのように仲良しよ。『女生徒』の、女の子なんて、あんまり可愛らしくて、抱きしめたくなるわ。

この作品には、太宰治が話のヒントとして出てくる(特に「人間失格」)。そして引用はある人を説得する時に使う啖呵なのだ。話の出来云々よりも僕はこのセリフがひっかかって…というか気に入ったので、作品としてどうのこうのはどうでもよくなってしまった。こんなふうに太宰を読んだ事、無かったので。

まぁあんまり猛烈プッシュはしないんですが、太宰を良く読んでいる人がいるならパラ見してみては、と思います。2時間半くらいで読めました。

確かに、『人間失格』を書いたあと、太宰は死んじゃったかもしれない。救いようのない鬱々とした作品だっていくつも書いているし、『人間失格』が、太宰の出した答えなのかもしれない。
けど、それだけが太宰のすべてじゃない。太宰の作品には、はにかみ屋の優しい人たちがいっぱいいるわ。平凡で心弱いけど強くもなれる人たちが、いっぱいいるわ。

そう、何と言うか作家に対する愛というか尊敬、みたいなもの。最近気にしなくなっていたから余計そういうものを感じたのかも。あー寝言、寝言です。スイマセン。許してください。

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nezicaplant
イラスト担当、竹岡美穂さんと葉月さんのサイト「nezicaplant」。