円環少女 (角川スニーカー文庫)

円環少女 (角川スニーカー文庫)


あらすじ

幾千もの魔法世界から<地獄>と呼ばれ最も忌み嫌われた場所―地球。なぜなら、本来自然なはずの魔法現象を消滅させてしまうからだった。元の世界で犯した罪のため<地獄>に堕とされた一人の少女魔導師・鴉木メイゼル。彼女の受けた刑罰は、<地獄>で敵対魔導師100人を倒すこと―。<円環体系>の使い手が、誰も成し得たことの無い過酷な運命に立ち向かう!灼熱のウィザードバトル開幕!!(裏表紙から引用。)

かんそう
友人に薦められて読んでみた。終わらない。そんなに厚くもない本なのに全然終わりが見えない。ときどき投げたくなるけどなんだか悔しくてもう最後は意地で読み通しました。

魔法で女の子が戦うという筋書きは結構好きですが、あまりにありふれた設定のために僕のようなトーシロでさえ目が肥えてしまうのは事実。特に、スペルマジックという要素は、世界設定・魔法の体系・呪文によってどのように世界へと働きかけるのかをかなりつくりこまないと、いくらでも超展開を許してしまうので、読んでる方はおいてきぼり…ということがままあるような気がします。最近だとLOVELESSなんかはスペルマジックの漫画でしたけど、あれもその感は否めませんでした(まぁ男×男でイチャイチャしてるのがメインなので良いのですが…)。ファンタジー、とくにスペルマジックものは、ルールが破綻していればいるほど、つまらなくなります。そうすると、僕のようなダメ読者は、「こいつが呪文をぶつぶつ唱えている間にぶんなぐっちゃえばそれで終わりじゃん」などと、わめくようになります。蛇足ですね。すいません。

翻ってこの円環少女も、人間が魔法を観測することによって“消去”する、という設定であるとか、感情にはららきかけて魔法を行うなどの設定が、いまいちしっくり来なくて、それがのめりこめない第一の原因でありました。何だか、魔法を使っている人にも魔法そのものにも、重力を感じない。喋る人とそれを喰らう人がいるだけで、その間が無いのは読んでいて何ともツライ。

二つ目には、ストーリー展開があまりにめまぐるしく動きすぎて脈絡を全然感じない。瑞希がきずなと勉強したその直後にいきなり神聖騎士団と戦いだしたり、きずなが父親と再会する行は、唐突すぎて僕にはポカーンでした。

そして最後は、かなり独特な言葉づかい、ですかね…。バンバン頻出する文語や、絶妙のタイミングで打ち込まれる句読点。あまりラノベ歴が長くないので似ている作家といってパッと思いつかないのですが、例えば感情的にものを書いた奈須きのこさんとでも言いますか…。そういう文章にのりきれるなら僕の戯言はきっぱり忘れて楽しめるかもしれません。

僕自身は、設定も結構好き、イラストもかなり好き、でも文章に乗り切れずに興を削がれてしまいました。何だか残念だなぁ…。

関連
TEA TIME
イラストの深遊さんのサイト。

DE_BREVITATE_VITAE
著者公式サイト。

ウィンドバード::Recreation - ライトノベラーは文章よりもバッジで作品を紹介しよう!
表紙画像の下にある「BATTLE」「FANTASY」というバッジはこちらから借用しました。これから活用してみたいと思います。