ようやく

曰く、この世界に存在する怪現象は、全て“神の悪夢”の欠片である。この悪夢の泡は人間の意識に浮かび上がると、急速に人の恐怖や悪意や狂気と混ざり合う。そして、現実世界を変質させながら溢れ出し、悪夢の物語を作り上げる。だが、浮かび上がった悪夢の泡が非常に大きかった時、個性が希釈されて物語の『元型』に近くなる。明示的、暗示的、様々な形で『昔話』や『童話』のエピソードに似たものになる―。普通であることが信条の白野蒼衣と、過去を引きずりつつ悪夢と戦う時槻雪乃。人間の狂気が生み出した灰かぶりの悪夢の中で出会った二人が辿る物語とは―!?鬼才が贈る幻想新奇譚、登場。
Amazon.co.jp: 断章のグリム〈1〉灰かぶり: 本: 甲田 学人から引用

感想
ライトノベルをめぐる旅第2章は勝手にコレに決めた。レジンキャストミルクは、世界設定をゼロベースから起こして色々と話を展開させるやつだったけどこっちはストレートに西洋童話をアレンジして使ってる分、馴染むまでにさして時間はかからなかった。文章のテンポも、今まで読んだライトノベルだと個人的にはかなり良いなぁ。雰囲気としてのゴシックホラーを演出するのが慣れてる感じ。描写のエグさもなかなか。女の子はツンデレっぽいけどどうなんだろう…デレるんですか。

ラノベに特徴的な身近な人の死について。この作品ではアニメ的ライトな演出(かき消されてしまうとか光になって消えてしまうとか)ではなくてもっと生身をぎりぎりと痛めつけるようにして、人が死んでいきます。そして、その死に方が何かの童話や民謡を準えていたりして恐怖倍増というわけですね。僕は「灰かぶり」という言葉があの童話の元ネタとは知らなかったんで、ムダ知識も倍増しました。多分知らない方が怖いと思う。

イラストは…ちょっと可愛すぎませんか…。良いとは思うけどちょっとミスマッチな印象を持ちました。以上です。はまぞうに画像が表示されないのであとでまた表紙画像を貼り付けておきます。

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甲田学人 - Wikipedia