グレッグ・イーガン順列都市(上巻)を読み終えて。面白い。だがしかし結局のところ、この小説家がオレの前に提出した素材をある程度理解した上で「ほう、こんなところも知ってるんだね、いやあ凄い」みたいな楽しみ方は不可能。主に生物学関連。脳内物質が出まくるのは、主にネットのツールとしての精度があと30年くらいには飛躍的に向上しているらしいという部分と、彼の宗教や文系学問に対するシニカルな(というよりあからさまに見下した)見方といったところかなぁ。馬鹿な男と皮肉っぽい女のカップルが文理のジャーゴンを縦横無尽に駆使しつつ口喧嘩するシーンが、本作に限らずいつも挟まるのには、この小説家の過去に何かあったんだろうなと思わせるに十分だった。