“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

例によって間が空いたけど読んだ。竹田さんと琴吹さんの扱いがひどいし(特に竹田さん)、構成も入り組みすぎで分かりづらいのに最後の力技で泣いた。良かった。

そろそろ終わりの予感がする文学少女シリーズ第5弾。毎度のことながら、キャラの動き方が唐突でびびる。芥川君も竹田さんも美羽とつながってるのは分かるけど、それにしては主人公に接近し過ぎているような…?それはともかくシリーズ通して、キャラクター(主に心葉)の神経症的な悶えっぷりが面白い。過去の思い出がトリガーとなりハァハァ呻きだす心葉君、犬になってと言われ断れず懊悩する心葉君、先輩に励まされ落涙する心葉君…あー心葉萌えー。未だにこのシリーズを読み続けられる原動力は、一つには知ってはいるけど読んだことのない名作周り薀蓄by遠子先輩、一つには鬱と感動のジェットコースター、そして最後には、イラストだと思う。自分としては。

特に二つ目の理由については(理由というほど大それたものではないけど)、ベタベタな罠にはまっていく心葉が麗しくそんな心葉に振り回される琴吹さんが不憫でだけどそれがいとおしく、そしてそんな状況を受験日ぎりぎりまでマクロに俯瞰しつつ最後にはあっているのかこっちが不安にさせられる推理と滔々と流れ出す文学語りでまとめあげる遠子先輩が清浄で心が洗われるようであるという点を特に強調しておきたい。もう良いのだ、筋道も構成も知ったことかというこの力技があれば。でもこういうの好きになるてのもなー、どうなんだろう。昔社会人になった人ですっごい斜に構えた人だったのに(幸田文の味わい深さについて云々するようないけない人だったのに)今ではペンギンのドキュメンタリーを見てぽろぽろと涙を流しているのを見て愕然した時に似ている。凄く似ている。つまり僕ももうお終いかもしれないという疑惑がふつふつとね、沸いてくるわけです。いや、ペンギンのドキュメンタリーを見て泣くのがいけないのではなくて、そういう評価のブレみたいなものがデカイとね、びっくりするでしょうという話ですよ蛇足ですが。

というわけで次はいよいよ遠子先輩の話らしい(追記20070916)。