思想地図のVol.3を読む。藤村龍至の「グーグル的建築家像をめざして」という文章と原武史という人に東・北田を加えた「『東京から考える』再考」という対談が面白かった。
前者では、磯崎新の「プロセス・プラニングの立場を継承し」つつ「あらゆるプロセスにおける建築形態を差分ファイルのように『保存』することで、『竣工』時の建築形態を無数の切断面のひとつとして『徹底的』に相対化する」彼の設計スタイルが紹介されている。もともとこの雑誌で紹介されている書き手の人達は、ハードインフラにもこうしたソフトウェアの設計用語を割り当てて語る事が多かったが、実際の建築家でこうしたスタイルの実践者が出てきた事は結構驚きだった。個人的には、こうした語り口で是非大規模なハードインフラの設計や開発は現在どう語りうるのかをを記述して欲しいと思った。後者は、「東京から考える」で得られた土地の機能から立ち上がる「政治性」という目線を具体的な土地や区域(主に東急・小田急両線、それと対比する形での西部・国鉄中央両線)に当てはめていくという形式を採った対談になっている。記憶に残っているのは、当初は神奈川の田園都市線沿線よりも団地開発が早いペースで行われた西部・東部や新京成の方が進んだ地域と見なされていた、というところ。また、そうした住居の配置とそこでの政治への関わり方の違い等。特に田園都市線での「政治嫌い」の傾向や、西武新宿線沿線で起きたコミューン的なものへの接近等が語られる。
関係があるかわからないが、東京沿岸部の無機質な風景と都内中心部とのハザマで未だに名残を残す東京の土着性とかに興味があるので(新橋、木場、品川、大崎とかそのへん?)、西部線と共産・社民勢力の融合現象は面白かった。