池上永一シャングリ・ラ上巻を読み中。これは良いラノベ。故中島梓氏が昔村上龍の「半島を出よ」を超重量級のラノベと評していたけどそれに近い感じ。龍が無意識調ラノベならこっちは作為的ラノベ文法。世界設定として面白いのは、環境主義がたたって、新しい経済圏を生み出してしまった人類が仮想の環境負荷をもてあまし気味になり、自壊寸前というところ。

あらゆるところにリスクが偏在し、見通しがききづらいという遠近法はリーマンショック直前の金融業界を見通しているようでもあり、そのへん慧眼かとも思うが、偏在化するリスクに対して少女を総統とするベタな組織が立ち上がってくる辺りにラノベっぽさを感じてしまうのかもしれない。