声で魅せてよベイビー (ファミ通文庫)

声で魅せてよベイビー (ファミ通文庫)


あらすじ

第8回えんため大賞佳作受賞! 主演:ハッカー、ヒロイン:腐女子の三次元激・ミュージカル!
“孤高のハッカー”を名乗る高校生・広野は、尊敬する“おっちゃん”のOSマニュアルを入手するため、同人誌即売会に乗り込んだ。場内の熱気に圧倒されつつも何とか目的を果たした広野。だがしかし、そんな彼の前に自称“腐女子”の声優志望少女・沙奈歌が現われ、しかも広野は、成り行きで彼女の恋の“エチュード”の相手をすることに! 目指せ“本番アリ”!恋と声に身悶えする、第8回えんため大賞佳作受賞の三次元ミュージカル、いよいよ開幕!!
Amazon.co.jp: 声で魅せてよベイビー: 本: 木本 雅彦,ヤス

どうでも良い事だけど、これは「2次元ミュージカル」。

下の記事を見て気になったので買った。
ウィンドバード::Recreation - 『声で魅せてよベイビー』の作者はプログラマー?

かんそう
面白かった。話の伏線の張り方が丁寧だし、ラノベで重要な1人語りもこなれてる感じ。恥ずかしいセリフがガンガン挿入されていくので、外では読めない。そこだけ注意かも知れない。

作者の人がプログラマということで、そういうシーンに注意して読んでみたけど、ちょっとイメージが違う。自分の中のプログラマに対するイメージって、朝起きて会社行ってはてブチェックして仕事してブログ更新して気づいたら週6日くらいの更新頻度は余裕…という情報のアウトプットとインプットが超高速な人かなと思っていた。あとコミュニケーション思考な人かなと。偏見かな?

でもこの主人公の場合、技術開発に集中すること、「ハック」に対して集中すること、の二つに特化していて全然そうではないなーと。

俺にとってコンピュータを使うということはプログラミングをすることだ。

父親の世代にはパソコン少年という言葉が存在したらしいが、俺の世代ではとっくに死語になっていて、おかしなことに技術は進歩したのに技術を持った少年は減少するという事態になっていた。

というようなセリフもあるように(父親もプログラマ)、オールドファッションな技術屋らしい主人公だったように思う。自力でカメラのファームウェアを解析してそれの修正パッチを開発者に送ってみたり、30分くらいでプログラムを組んで市販可能な面白いソフトをネットで売り出してみたり(あ、もう自分では意味が曖昧な言葉を使ってますスイマセン)とかその辺りが。逆に、メッセンジャーとかスカイプを使う相手って彼にはストーリーのキーマンしかいない。ハッカーの矜持は「孤高」であることなのだそうだ。なるほど。

ただその設定は活かされていたと思う。

あと気になった感想とか。

孤高であろうとする広野の気持ちは分からなくもないですし、沙奈歌が目指す世界では特別であることが大事なのも分かるのですが、それでもこの主人公は身勝手で押し付けがましい奴にしか思えない。沙奈歌に対して関わるスタンスが自分はどう思うかで、その思ったことを押し付けているようにしか見えません。
FULL MOON PRAYER - 声で魅せてよベイビー / 木本雅彦

主人公の心情がどっちつかずなままな印象だったのは否めないかも。

良くも悪くも理系少年のドリー夢なんだよなー、これ。とことん考えて行動し、ヒロインがピンチになっても覚醒して手からビームなんて出さない。論理的思考と科学的知識が勝利の鍵だ! っちゅう。
理系人間の若書き/声で魅せてよベイビー

理系少年のリビドー。理系少年は読め!

鮮烈な印象では無いけど、次も読んでみようかな。あと文系のためにコンピュータ関連のお勉強的側面が増えてくれると嬉しい。そしたら二冊買っちゃう。

おしまい。