断章のグリム (2)


ラノベをめぐる旅第2章2幕目。これは本当にミドルティーン向けの本なのだろうか。

今回は、雪乃のクラスメイト媛沢遥火という女の子が通学途中に「神の悪夢」に巻き込まれて以前のトラウマを呼び起こされ、泡禍に巻き込まれていくというお話。蒼依は自分の「断章」の能力を自覚しだし、それに対して答えを模索。雪乃は蒼依自体をロッジの仕事から遠ざけたくてたまらない。颯姫は白痴キャラで相変わらずみたいなまとめでどうだろう。

甲田学人の死霊の腸具合、もといグロ具合は一巻からなので今さらだが今回はそれに輪をかけて悲惨。この人絶対楽しんでるよ!(怯えた表情で)。渾身の力でキャラクターを恐怖の底に叩き混みめちゃくちゃに出来るライトノベル作家というのがいるんだなぁー。身体的な痛みや、視覚的な不愉快さの表現+オカルティックな民俗学を援用して現代ゴシックの空気を吸うことが出来ました。鬱、というと「好きな女の子が死ぬので悲しい、しかもムゴイ」というのがラノベにおける標準だけど(偏見)、この人はハリウッドB級スプラッターものがやりたいんでは。なのでこっちもニヤニヤして読んでみたよ。積極的誤読。

それと…若干本筋に触れるけど(ネタバレはしない)、「トラウマ」の連鎖が新しい「トラウマ」を生むというのは分かるんだけども(暴力を振るわれた子供は親になってからまた暴力を振るう、というような)、その連鎖の中に組み込まれてしまった人間はやはり社会的にみて危険な可能性があって。

やはり誰かがその危険を排除しようとした時に、当事者が感じる何かってそんなライトなものかなと。あ、これは読んだ人にしか分からない話だな。ここにちょっとミドルティーン向けでないんではないかと思う理由がある。