グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

ラノベ空白期…というか時間も無くターゲットにしている作品は動きが無いので(れじみる=終了・断章のグリム=続きが出ない・魔女カリ=いよいよ打ち切り?!)、何となく。あとよく読んでるhttp://d.hatena.ne.jp/shinosuke/20061214/p1で絶賛だったので。ああ、最後に決断主義者宇野さんが褒めてたので。要は流行ってたから手を出した。感想。続きモノなので何とも言えない。形としては凄く綺麗であるが、別にヤツラの意図なりなんなりが書かれてるわけではないし、伏線張りまくりだし、これ一巻だけで物語を「読む」ことをめぐる、優しくも残酷な寓話―と書けてしまう解説仲俣氏の読解力は神レベル。ざっと読みでは何やら舶来風な文体でもありどうも昨今のソフトウェアの知識も応用されているみたいであるが、そこいらへんは何となく流しつつもっぱら官能というキーワードで最後までもってかれた。

一番良かったのはイヴというキャラクターがネットをかけ巡っている間のシーンだったかなぁ。何かネタバレさけつつ言うの難しいんだけどネットと融合して気持ち良いみたいなアレがあってでも実はその全能感は裏があるんですよーという全然解説になってないけどそんなシーンが。何かうーんSF作家というイメージに偏見があって、要するにゴリゴリ理路をとく人か神林的超文体メタフィクションみたいな人かどっちかだろうというのを未だに引きずってまして。で、後者は苦手。何故かというと、前者は理路に追いつかなくなった時点で単語のつながりと大系を覚えてしまえば読めるていると勘違いさせてくれるが、後者はそれを許さない。読めていると勘違いしていたら、ああ、その勘違いすら勘違いかオレは何を読んでいたのだという気に何度もさせられるので。だからあれらを好む人は超インテリだと思っている。これの場合はどっちかとえば後者なんだけど文体が海外小説っぽいので、リーダブルだった気がする。ムダにそれらの類を読んでるので。

あと、仮想リゾートという背景を使ってマンディアルグの「満潮」をやってみたい、とかね。
http://unknownmix.exblog.jp/4310690/

SF作家でこういうインターフェイスを創れる人がいるってのは収穫だった…かな。あと後ろめたいもの読んでるなーという感覚は久しぶりでそれも良かった。続きモノなんで次にラキッド・ガールを読んでから感想とか追記したい。